書籍の無料読みもの

場がひらくとは、関わりが生まれ、受け取られ、次につながっていくこと

今日は、「場がひらく」とはどのような状態なのかについて書いていきます。

発言が多いことや盛り上がることだけでは、場がひらいたとは言い切れません。関わりが生まれ、受け取られ、次へつながっていく動きに注目します。

このページの目次

1.「場がひらく」とは、何が起きている状態なのか

2冊目のタイトルには、『場がひらく、Yes And の先へ』という言葉を置いています。では、「場がひらく」とは、何が起きている状態なのでしょうか。

  • 単に参加者が楽しそうにしていること。
  • 場が盛り上がっていること。
  • 発言がたくさん出ていること。
  • 笑いが起きていること。

もちろん、それらも場にとって大切な要素です。でも、それだけで「場がひらいている」とは限りません。私が考えている「場がひらく」は、参加者がただ動かされている状態ではありません。

参加者の中から、自分なりの関わりが生まれてくる。その関わりが、場の中で受け取られる。そこから、次の流れが生まれる。そういう状態に近いものです。

2.場が温まることと、場がひらくことは違う

ワークショップや研修では、「場を温める」という言い方をすることがあります。

  • アイスブレイクをする。
  • 笑いを起こす。
  • 身体を動かす。
  • 参加者同士の距離を少し近づける。

これは、とても大切です。場が冷えたままでは、参加者は自分なりに関わりにくいからです。ただ、場が温まることと、場がひらくことは同じではありません。

場が温まっていても、参加者が予定された反応だけをしている場合があります。盛り上がっていても、自分なりの関わりは出せていない場合があります。楽しい時間になっていても、場の中で何かが変わるところまではいっていない場合があります。

場がひらくとは、単に場が明るくなることではありません。参加者が、自分の感覚や違和感や試したい関わり方を、場の中に少しずつ出せるようになることです。

3.参加者が自分なりの関わりを出せるようになる

場がひらいていくと、参加者の関わりが変わっていきます。ただ正解を探すのではなく、自分の感覚から言葉を出す。周りに合わせるだけでなく、小さな違和感を出してみる。思い通りにやろうとするだけでなく、試しに関わってみる。講師やファシリテーターの期待に応えるだけでなく、自分の現場や経験とつなげて考える。

こうした関わりが生まれてくると、場は少しずつ動き始めます。その関わりは、大きな発言でなくてもかまいません。

  • 小さなうなずき。
  • 少し考え込む時間。
  • 短い問い返し。
  • 自分の経験に引きつけた一言。
  • 今まで言わなかった違和感。
  • 試しに出してみたアイデア。

そうした小さな関わりが、場をひらいていくきっかけになります。

4.関わりが受け取られ、次の流れにつながる

ただし、関わりが出るだけでは、場がひらくとは言い切れません。大切なのは、その関わりが場の中でどう受け取られるかです。

  • 誰かの一言が流される。
  • 違和感がすぐに否定される。
  • 予定外の反応がなかったことにされる。
  • 発言した人だけの問題として閉じられる。

そうなると、参加者は次の関わりを出しにくくなります。逆に、一人の関わりが場で受け取られると、次の流れが生まれます。

  • 誰かの発言が、別の人の経験を呼び出す。
  • 小さな違和感が、場全体の問いになる。
  • 沈黙が、次の問いの入口になる。
  • 予定外の反応が、学びの素材になる。
  • 一人の関わりが、場全体の流れを少し変える。

このとき、場はただ進行されているのではなく、参加者と共につくられていきます。

5.場がひらくと、関係性と見え方が変わる

場がひらくと、そこにいる人たちの関係性や見え方も少し変わります。

  • 相手の発言が、ただの意見ではなく、その人の経験や背景を含んだ表現として見えてくる。
  • 沈黙が、何も起きていない時間ではなく、何かが動きかけている時間として見えてくる。
  • 違いやずれが、対立ではなく、新しい見方の入口として見えてくる。
  • 予定外が、場を壊すものではなく、次の展開の素材として見えてくる。

こうした変化は、すぐに大きな成果として見えるとは限りません。でも、場の中では確かに何かが変わっています。

参加者が、自分なりの関わりを出してもよいと思える。誰かが場に出してきたものを受け取ってみようと思える。予定外を、ただのミスではなく、次の素材として見られる。

そうした関わりが重なると、場は少しずつ共創と変容に向かって動き始めます。

6.この本で扱っていること

『場がひらく、Yes And の先へ』では、インプロを単なるゲームやコミュニケーション術としてではなく、場づくり、関係性、共創、変容の視点から見直しています。場がひらくとは、参加者の関わりが生まれ、それが場の中で受け取られ、次の関わりにつながっていくことです。

  • 一人ひとりの小さな関わりが生まれる。
  • その関わりが受け取られる。
  • 次の流れにつながる。
  • 関係性や見え方が少し変わる。

この視点は、ワークショップ、企業研修、ファシリテーション、コーチング、組織開発、チームビルディングにもつながります。場を盛り上げるだけでなく、場がひらくとはどういうことなのか。その入口として、2冊目を読んでみてほしいです。

場がひらくとは、単に活発になることではなく、一つの関わりが受け取られ、次の関わりへと連鎖していく状態です。

あなたの現場では、誰かの言葉や行動が、別の人の次の一歩につながっているでしょうか。

関わりが連鎖する場をさらに考えたい方は、書籍『場がひらく、Yes And の先へ』もぜひご覧ください。

インプロの知恵を、さらに現場へ

書籍『場がひらく、Yes And の先へ』では、この記事で取り上げたテーマを、インプロの視点から、場づくり、関係性、共創、変容の実践と結びつけて探究しています。