舞台芸術として育ってきたインプロを大切にし、その技術を実践の中でアーツ(技芸)として育んでいくことを重視しています。
私たちの出発点にあるのは、インプロの多岐にわたる実践と、それを裏付けるさまざまな研究です。
仲間と遊び、トレーニングを重ね、その場で起きたことを受け取りながら、まだ存在していない人物や関係、出来事、物語を幾度となく創りあげることを繰り返してきました。
実践から生まれた気づきや問いを、インプロの主要な源流や原典、歴史、国内外のさまざまな実践へとたどり、そこで得た知見をまた実践へと持ち込み検証する。
そうした実践と探究の行き来を通して、技術をアーツ(技芸)として育み、インプロをもっと深く、長く、豊かに楽しめるものにしていきます。そして、そこで培われた知恵や経験を、日常や仕事、チームや組織など、さまざまな場で活かしていきます。
私たちの4つのミッション
日本インプロアーツは、以下の4つのミッションを掲げています。
1. 世界のインプロの知見と技芸を、日本に広める
世界各地で培われてきたインプロの豊かな知恵や技術を、その歴史や背景とともに深く理解し、日本に広く紹介します。ヴァイオラ・スポーリン、デル・クローズ、キース・ジョンストンを主要な参照軸としながら、多様な源流や実践にも目を向け、原典の研究と現場での実践を重ね、日本におけるインプロの確かな基盤を育てていきます。
2. 日本の文化に根ざした新たなインプロを創造する
海外の知見をただ取り入れるだけでなく、日本の文化や言語、風土、私たち自身の感性を生かしながら、インプロの新たな可能性を探究します。舞台芸術や教育、仕事や組織など、さまざまな場での実践を通じて、既存の理論や技術を日本の文脈で発展させ、日本から世界へ発信できる独自の表現や実践を創造していきます。
3. 日本におけるインプロの基準を上げる
世界のインプロの豊かな知見を広め、日本の文化に根ざした新しい実践を探究する。その両輪を通じて、私たち自身も含め、日本のインプロに関わる人々が、何を豊かな表現と捉え、どこまでの可能性を目指すのか、その基準を引き上げていきます。
舞台芸術としての表現はもちろん、ワークショップや指導、仕事や組織での活用においても、より深い理解と豊かな実践を追求します。体系的な学びや資格認定制度を通じて、インプロの知恵と技芸を丁寧に扱える人と場を増やし、より多くの人々がインプロの本質的な価値と魅力に触れられる、健全で深い学びの文化を育てていきます。
4. インプロの楽しさと価値を、社会へ広める
インプロには、仲間と遊び、表現し、未知の出来事に出会い、ともに新しいものを創り出す楽しさがあります。その魅力を広く伝えるとともに、他者と影響を受け合い、共創する実践から培われる知恵や技芸を、日常生活や教育、仕事、組織など、社会のさまざまな場へと広げていきます。人々が遊び心と冒険する気持ちを持ち、創造的に、より生き生きと活躍できる社会を目指します。
なぜ、日本インプロアーツをつくるのか
インプロには、気軽に遊べるゲーム形式から、その場で一本の舞台作品をつくる実践まで、広い世界があります。
源流や実践の系統によって、何を目指すのか、大切にする考え方、使われる技術、上演形式、学び方にも違いがあります。
一方で、異なる実践の間には、つながりや共通する知恵もあります。
日本インプロアーツは、それぞれの背景や違いを大切にしながらインプロの広い世界を見渡し、実際に試し、自分たちなりの想いや問いを持ちながら、さらに深く進んでいける場所をつくります。
初めてインプロに出会う人には、楽しく踏み出せる入口がある。
続けたい人には、さらに深く探究していける道がある。
舞台で表現したい人にも、日常や仕事に活かしたい人にも、それぞれの目的からインプロの広い世界へ入っていける。
そのための実践、知識、人、場を、関わる人たちとともに育んでいくことが、日本インプロアーツをつくる理由です。
なぜ「日本インプロアーツ」という名前なのか
「日本インプロアーツ」という名前には、世界で育てられてきたインプロの知恵や技術を受け取り、日本で実践を重ねながら、その先へつないでいきたいという想いを込めています。
「アーツ(技芸)」には、技術を身体になじませ、その人自身の感性や判断と結びつけながら、その場で生きた表現として使っていくという考えを重ねています。
また、私たちの活動・コミュニティである「へっちゃらんど」で育ててきた遊び心、冒険、仲間とともにつくる感覚も、この名前の土台にあります。
名称に込めた意味については、「日本インプロアーツという名前に込めたもの」で詳しく紹介します。
実践と探究を行き来する
日本インプロアーツでは、ワークショップやトレーニング、そして公演などで実際にインプロをする中から生まれた気づきや問いを、原典や歴史、異なる源流や実践に照らし、そこで得た気づきや新たな問いを、もう一度実践へ戻して確かめています。
この行き来を重ねながら、知見と技芸を育てています。
インプロの広い世界を私たちがどのように見渡し、比べ、実践へつないでいるかは、「広大なインプロの世界を深く探究し、編む。」で詳しく紹介します。
舞台芸術としてのインプロを原点とする
私たちは、インプロを考え方や短いフレーズだけで捉えるのではなく、その根底にある舞台芸術としての即興演劇の具体的な実践を大切にしています。
演劇空間という虚構の世界に身を置き、その中で真実味のある人物や関係性を育てながら、空間や身体、言葉を使って、その瞬間にしか生まれない出来事や表現をつくっていく。それが、即興演劇としてのインプロの根本にあります。
そうした即興演劇としての実践は、インプロの技術を積み上げていくうえで欠かすことのできないものだと、私たちは考えています。
ミッションを、具体的な活動へ
4つのミッションを、さまざまな活動を通じて具体化していきます。
体験する・深める
初めての人も、すでにインプロを経験している人も参加できるワークショップや、テーマ・目的に応じた各種プログラムを通して、実際にインプロを体験し、楽しみ、繰り返しながら深めていける場をつくります。
一度やってみるところから、さらに広いインプロの世界を探究するところまで。それぞれの人が、自分なりの進み方を見つけられる場を育てていきます。
知る・読む
公式サイト、記事、動画、書籍などを通じて、インプロの意味、歴史、源流、考え方、技術、ゲーム、上演形式、その活かし方について知るための情報を育てていきます。
背景や文脈までたどり、その考え方や技術が実際のインプロとどうつながっているのかが見える形で伝えることを大切にします。
日常・仕事・組織に活かす
インプロの実践から得られる知恵や経験を、日常でのものの見方や取り組み方、創造性の発揮、人との関わり、組織開発、人材育成、コーチング、ファシリテーション、ビジネス、そして教育など、さまざまな場面で活かしていきます。
舞台で生まれてきた実践の中で、何がどのように仕事や組織の場で生きるのかを確かめ、目的や文脈に応じて活かしていきます。
法人・組織向けの取り組みも、今後の主要な活動領域として育てていきます。
研究し、つながる
主要な源流や原典、歴史、国内外のさまざまな実践を調べ、自分たちの実践と照らし合わせながら探究します。
また、組織開発、人材育成、コーチング、ファシリテーション、教育、研究、文化芸術など、異なる分野のエキスパート・フェローや専門家ともつながりながら、インプロを別の角度から見直し、新しい可能性を探究していきます。
日本インプロアーツと、へっちゃらんど
二つの名前には、それぞれ異なる役割があります。
日本インプロアーツは、組織全体を担うマスターブランドです。インプロについて知ること、体験すること、深めること、出版や発信、法人・組織での活用、研究、公演、人材育成など、さまざまな活動を一つにつないでいきます。
へっちゃらんどは、人が実際に集まり、インプロを体験し、遊び、実践し、仲間と出会うための活動・コミュニティブランドです。
日本インプロアーツは、へっちゃらんどが育ててきた遊び心、冒険、仲間とともにつくる感覚を受け継ぎながら、それをより広い活動へ育てていきます。
2026年現在と、これから
2026年は、日本インプロアーツにとって、本格的な展開に向けた基盤をつくる時期です。
現在は、ワークショップを通じたインプロの実践を続けながら、公式サイトと知識体系の整備、書籍や記事などの制作・発信を進めています。
あわせて、主要な源流・原典・歴史・実践について、これまでの探究をさらに深めながら、今後の個人向け・法人向け事業の準備にも取り組んでいます。
2027年に法人の設立を予定しており、その後、活動をさらに本格化していく方針です。
継続的にインプロを深められる場、法人・組織向けの取り組み、出版・コンテンツ、公演・創作、人材育成、研究や外部機関との連携なども、実際の準備と進捗に合わせて順次育てていきます。