応用インプロという考え方
舞台芸術としてのインプロで培われた知恵や技芸を、教育や仕事、組織など、舞台以外の領域の目的に応じて活かす実践を「応用インプロ」と呼びます。
インプロゲームやエクササイズを取り入れることも、その方法の一つです。ただし、日本インプロアーツが重視するのは、ゲームの形式だけではなく、そこで何が起き、参加者がどのような経験をしているかという点です。
例えば、同じゲームでも、チームの協働を扱う場合とリーダーシップを扱う場合では、注目するやり取りも振り返りの問いも変わります。インプロの実践知を人材開発・組織開発の専門知と照らし合わせ、こうした経験がそれぞれの目的に結びつくようにプログラムを設計します。
インプロと、人材・組織開発の実務をつなぐ
日本インプロアーツの法人・組織向けプログラムは、代表のへちゃっぷりんが企画・監修を担います。
へちゃっぷりんは、約30年にわたってインプロの実践、公演、指導、研究に携わり、同時に、人材開発・組織開発・人事領域でも約20年の実務経験を重ねてきました。組織開発コンサルティング会社での十数年の勤務を含め、企業のパーパスやミッション・ビジョン・バリューの策定・浸透、人材育成、コンピテンシーや職務要件の整理、人材分析、研修・ワークショップの設計などに携わってきました。
インプロを舞台芸術として深く理解していることと、企業の人材・組織に関わる実務を知っていること。その両方を土台に、企業や組織の目的を踏まえながら、インプロの実践知を仕事の現場で生きる学びへとつなげます。
法人・組織向けの活用テーマ
インプロを活用する領域として、主に次の五つを扱います。それぞれのテーマは互いに関わり合っているため、実際のプログラムでは目的や参加者に応じて組み合わせることもできます。
組織開発・組織変革
対話や協働、人と人との関係性など、組織のあり方に関わるテーマを扱います。
対話や協働、人と人との関係性など、組織のあり方に関わるテーマを扱います。インプロを通じて生まれる相互作用や共同で何かをつくる経験を、組織文化やチームの関係性を考える学びへつなげます。
ファシリテーション・コーチング
相手や参加者の反応を受け取りながら、問いかけや働きかけを選んでいく実践を扱います。
相手や参加者の反応を受け取りながら、問いかけや働きかけを選んでいく実践を扱います。インプロの技芸を、対話や学びの場を支えるファシリテーション、コーチングなどの専門的な実践と結びつけます。
コミュニケーション・チーム協働
相手の言葉や行動を受け取り、自分からも働きかけながら、仲間とともに進める経験を扱います。
相手の言葉や行動を受け取り、自分からも働きかけながら、仲間とともに進める経験を扱います。傾聴や対話からチームワーク、プレゼンテーションまで、多様なコミュニケーションの場面につなげます。
管理職・次世代リーダー育成
状況を捉えて判断し、周囲に働きかけるリーダーシップを、インプロの実践を通じて扱います。
状況を捉えて判断し、周囲に働きかけるリーダーシップを、インプロの実践を通じて扱います。自ら方向を示すことに加え、相手や場の変化を受けて関わり方を調整することも、学びの対象とします。
変化・創造・事業づくり
先が決まっていない状況で試し、周囲からの反応を受けて次の一手を選ぶ。
先が決まっていない状況で試し、周囲からの反応を受けて次の一手を選ぶ。そうしたインプロの経験を、変化への対応、新しいアイデアの創出、仲間との共創などに活かします。
経営・人事の上位テーマとの接続
こうした活用領域は、個別の研修に限らず、人材や組織をどのように育てていくかという経営・人事のテーマともつながっています。日本インプロアーツでは、それぞれの組織の方針や取り組みを伺いながら、インプロが担える役割を考えます。
さまざまな導入・支援の形
インプロの活用は、一度の体験から継続的な研修、組織への中長期的な関わりまで、目的や状況によって形が変わります。また、既存の研修や合宿の一部に取り入れる方法もあります。
体験型ワークショップ・短期プログラム
90分程度から半日ほどのワークショップなどを通じて、インプロを体験しながら、対話や協働、チームづくりといったテーマを扱います。単独開催に加え、既存の企業研修、合宿、プロジェクトのキックオフなどに組み込む形にも対応できるよう設計します。
継続研修・フォローアップ
複数回のプログラムでは、ワークショップでの経験と職場での実践、振り返りをつなぎながら、学びを深めます。参加者や組織の状況に応じて、次の回のテーマや進め方を調整していく形です。
中長期の組織開発・伴走型支援
さらに、半年から年間、複数年にわたる継続的な支援も展開の視野に入れています。研修だけで完結させず、対話や実践、振り返りを重ねながら、組織の取り組みを支えていく形です。
目的や状況に応じたプログラム設計
基本となるプログラムを活かす場合にも、個別に内容を組み立てる場合にも、出発点となるのは、企業や組織が何を目指しているのかを伺うことです。テーマや参加者に合わせて設計し、実施を通じて見えてきたことも、その後のプログラムに反映します。
世界の企業で活用されているインプロ
海外では、企業研修やチーム開発に加えて、組織のビジョン形成、リーダーシップ開発、創造性を高める取り組みなど、幅広い場面でインプロが活用されています。国内でも、企業や組織がインプロを取り入れた例があります。
例えば、シカゴの即興演劇・コメディの名門The Second Cityを母体とするSecond City Worksは、Fortune 1000に名を連ねる600社以上の企業と、企業イベント、コンテンツ制作、人材育成プログラムなどに取り組んできたと公表しています。
※以下の企業事例は、企業や研修提供団体などの公開情報をもとに、日本インプロアーツが調査・整理したものです。
代表的な企業での活用事例
Google|組織のビジョン・戦略形成
Google Brand Studioでは、チームの新しいビジョンや戦略、働き方を検討するため、リーダー層を対象とした4日間のオンライン合宿が行われました。そこでは応用インプロを取り入れ、メンバー同士の対話や共同で考える時間が設けられています。
Meta|社内コミュニケーション・対話型学習
MetaがFacebookの名称で事業を展開していた時期、北米営業チームのコミュニケーション向上などを目的として、1,000人以上の社員が参加する社内イベントで、参加型の学習プログラムが実施されました。
Nike|組織文化・チームの関係性改善
Nikeのデザインチームでは、事前のヒアリングを踏まえ、傾聴やフィードバック、信頼関係、協働を扱う体験型プログラムが行われました。ほかのチームや部門でも、さまざまな形で取り組みが続けられています。
Ford Motor Company|創造性・経営教育
Ford向けの経営教育プログラムでは、インプロを活用して創造性や即興的な思考を扱う学びが取り入れられました。経営教育の一環として、舞台の実践知を活用した例です。
Intel|リーダーシップ・組織の価値観の実践
Intelのリーダーシップに関わる価値観を、日々の行動へとつなげるため、参加型の体験や学習ツールを用いた取り組みが紹介されています。価値観を具体的な行動として考える事例です。
General Electric(GE)|管理職・幹部候補者育成
GEの幹部候補者向けマネジメント研修では、プログラムの一部にインプロの演習が取り入れられました。仲間からの提案を受け取り、互いを支えながら、その場で考えることを体験しています。
Uber|チーム開発・協働・イノベーション
Uberのデザインチームでは、協働や創造的な発想をテーマに、インプロを用いたチーム開発プログラムが実施されました。仲間のアイデアを受け取り、新しい提案へつなげていく経験などが扱われています。
HubSpot|変化対応・レジリエンス・ストーリーテリング
HubSpotのリーダー向けイベントがオンラインに切り替わった際、変化への対応力やレジリエンス、ストーリーテリングを扱う2日間の参加型セッションが実施されました。
PwC|傾聴・難しい会話・プレゼンテーション
PwCの関係者による参加体験の評価では、相手の話を聴くことや難しい会話への向き合い方、プレゼンテーション、信頼関係づくりなどが取り上げられています。
AstraZeneca|営業人材育成・大規模研修
AstraZenecaの営業部門を対象に、2014年、3日間で約1,500人が参加する研修が実施されました。44人の講師による並行セッションを通じて、インプロの手法を大規模な人材育成へ活用した例です。
その他の企業での活用事例(18社)
- P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)|創造性・デザイナー向け体験型学習
- IBM|チームの信頼関係・成長志向
- Pfizer(ファイザー)|部門間の協働・コミュニケーション
- Cisco(シスコ)|チームの相互理解・創造性
- adidas(アディダス)|チーム研修・体験型学習
- Verizon(ベライゾン)|リーダーシップ・協働・適応力
- Deloitte & Touche(デロイト)|傾聴・チームの信頼関係
- Ernst & Young(EY)|社員参加型イベント・チームの交流
- Spotify(スポティファイ)|チームの創造性・アイデア創出
- NBCUniversal(NBCユニバーサル)|経営幹部のプレゼンス・コーチング
- Coca-Cola Enterprises|柔軟なリーダーシップ・協働
- Bristol Myers Squibb|専門職チームの柔軟な発想
- Eli Lilly(イーライリリー)|ファシリテーション・人材育成
- Daimler Trucks|変化への対応力・即興的な学び
- Fidelity Investments|チーム研修・学びの職場への応用
- ビズリーチ|全員参加型の創造的発想
- Gengo|部門横断のチームビルディング
- Empower|組織文化への定着・6か月の継続研修
多様なインプロの源流と実践を活かす
日本インプロアーツでは、ヴァイオラ・スポーリン、デル・クローズ、キース・ジョンストンという三大源流を主要な参照軸としながら、The Second City、iO、UCBなどの関連する系譜や、世界各地で育まれてきた多様なインプロの哲学、技芸、実践を幅広く扱っています。
それぞれの源流や技法が何を大切にしてきたのかを原典と実践の両方から学び、舞台で培われた知恵を、企業や組織の目的に応じた学びへとつなげていきます。
2027年からのパイロット実施と、その後の展開
日本インプロアーツでは、2027年に法人・組織向けのパイロットプログラムを開始する予定です。まずは短時間の体験型ワークショップなどから取り組み、実施を通じて得られる反応や振り返りを踏まえながら、プログラムを磨いていきます。
その後は、複数回の継続研修やフォローアップ、さらに中長期の組織開発・伴走型支援へと、段階的に展開していく構想です。具体的なプログラムや実施条件は、ご案内できる段階から順次お知らせします。
法人・組織向けのご相談・お問い合わせ
インプロを企業研修や人材育成、組織開発などに活かすことについて、ご関心のあるテーマやご相談がありましたら、お問い合わせ窓口からご連絡ください。プログラムの提供状況も含め、ご案内できる内容をお伝えします。