今日は、対話型組織開発にインプロの感性をどう活かせるかについて書いていきます。
対話の手順だけでなく、沈黙や違和感、ためらいなど、その場で動く反応と関係性に目を向けます。場の変化を急がず育てる視点を考えます。
このページの目次
1.対話の場で起きている反応と関係性の動きを扱う
対話型組織開発では、対話の場で交わされる言葉だけでなく、そこで生まれる沈黙、違和感、ためらい、反応、関係性の動きを扱うことが大切になります。
その土台として、次のようなことが挙げられます。
- 組織の中に、話せる場があること。
- 違いを出せること。
- 現場の声が届くこと。
- 関係者が同じ場に集まり、互いの見えているものを持ち寄れること。
こうしたことは、組織が変わっていくための大切な入口です。
インプロの感性を重ねるなら、対話の場に何が起きているのかを受け取り、次の展開につなげることが重要になります。
- 対話の中で何が起きているのか。
- その場に生まれた違いや違和感がどう扱われているのか。
- 一人の関わりが、場全体の流れにどう影響しているのか。
そこまで見ていくことが大切になります。
2.対話の場では、予定外のことが起きる
対話の場では、予定外のことが起きます。
- 思っていたより発言が出ない。
- ある人の一言で、場の空気が変わる。
- 本題とは別のところに、大事なテーマが見えてくる。
- 誰かの違和感が、組織全体の課題につながっていることがある。
- 沈黙の中に、まだ言葉になっていないものがあるかもしれない。
こうしたことは、対話の場ではよく起きます。そのとき、予定していた問いに戻すだけでよいのか。それとも、いま場に生まれたものを受け取り、次の問いにつなげるのか。
ここに、対話型組織開発の難しさと面白さがあります。対話の場は、予定通りに進むことで価値が出るわけではありません。むしろ、予定外に現れたものの中に、組織にとって大切なテーマが含まれていることがあります。
3.インプロは、場に生まれたものを受け取る感性を体験的に確かめる
ここでは、本書で扱った場と関係性の視点を、対話型組織開発の文脈へ引き寄せて考えます。インプロでは、最初からすべてが決まっているわけではありません。
誰かが関わってみる。別の誰かがそれを受け取る。その反応を見て、また次の関わりが生まれる。予定していなかったことが、次の展開の素材になる。
これは、対話の場にも通じる感性です。対話型組織開発にインプロの感性を活かすとは、対話の場にゲームを入れることだけではありません。
- 場に生まれた一言を受け取る。
- 沈黙や違和感を、なかったことにしない。
- ずれや予定外を、対話を深める素材として扱う。
- 一人の関わりを、場全体の流れにつなげる。
この感性は、対話の場を、ただ意見を出し合うだけでなく、組織の変化につながる可能性を探る場として捉える手がかりになります。
4.違いやずれを、問題ではなく素材として扱う
組織の対話では、違いやずれが出てきます。
- 立場によって見えているものが違う。
- 現場と管理職で感じている課題が違う。
- 部署ごとに大切にしていることが違う。
- 同じ言葉を使っていても、意味していることが違う。
こうした違いやずれは、ときに場を難しくします。でも、それは対話を深める素材にもなります。
違いが出たからこそ、見えてくるものがある。ずれが出たからこそ、組織の前提が見えてくる。違和感が出たからこそ、まだ扱われていないテーマに触れられる。
インプロの感性は、こうした違いやずれを、すぐに正すべき問題としてではなく、次の関わりにつながる素材として見る助けになります。
5.対話を、合意形成だけで終わらせない
対話の場では、合意形成も大切です。
- 何を決めるのか。
- どこまで進めるのか。
- 次に誰が何をするのか。
こうしたことを曖昧にしすぎると、対話がただ話して終わる時間になってしまうことがあります。ただ、対話を合意形成だけで見てしまうと、場に生まれている変化を見落とすことがあります。
誰かの見方が少し変わった。これまで言えなかったことが言葉になった。他部署の事情が、少し実感をもって伝わった。対立していた意見の奥に、共通する願いが見えてきた。こうした変化も、組織開発にとって大切です。
インプロは、場の中で起きた小さな変化を受け取り、そこにどう関わるかを、体験を通して確かめる機会になります。対話を、ただ結論を出す場としてだけでなく、関係性と認識が少しずつ変わっていく場として見る。そこに、インプロの感性が活きてきます。
6.この本で扱っていること
『場がひらく、Yes And の先へ』では、インプロを単なるゲームやコミュニケーション術としてではなく、場づくり、関係性、共創、変容の視点から見直しています。
対話型組織開発に、インプロの感性をどう活かせるか。その入口は、場に生まれたものを受け取ることです。
- 予定外を素材にすること。
- 違いやずれを対話の入口にすること。
- 一人の関わりを、場全体の流れにつなげること。
- 合意形成だけでなく、関係性や認識の変化も見ること。
この感性は、組織開発、ファシリテーション、チームコーチング、企業研修の場にもつながります。対話の場を、ただ話し合う場ではなく、共に変わっていく場として考える。その入口として、インプロを見直してみませんか。
対話型組織開発では、交わされた言葉と同じくらい、場に生まれる反応や関係性の動きを扱うことが大切です。
あなたの対話の場では、沈黙や違和感がどのように受け取られ、次の関わりにつながっているでしょうか。
対話と関係性の変化をさらに深く考えたい方は、書籍『場がひらく、Yes And の先へ』も手がかりにしてみてください。
インプロの知恵を、さらに現場へ
書籍『場がひらく、Yes And の先へ』では、この記事で取り上げたテーマを、インプロの視点から、場づくり、関係性、共創、変容の実践と結びつけて探究しています。