今日は、組織開発にインプロを活かすとき、共創の場づくりから考える視点について書いていきます。
個人の能力を高めるだけでなく、人と人の間で新しい意味や動きが生まれる条件に目を向けます。関係性と場の変化をどう扱うかを考えていきます。
このページの目次
1.組織開発を、関係性と場の動きから見る
組織開発では、人と人の関わり方、声の出方、違和感の扱われ方、共に考える場の質などが問われます。もちろん、それらは大切です。
組織には、仕組みが必要です。役割も必要です。ルールも必要です。目的や方針を共有することも必要です。
ただ、組織は制度や仕組みだけで動いているわけではありません。
- 人と人の関係性。
- 日々のやりとり。
- 言いやすさ、聞きやすさ。
- 挑戦や違和感の出しやすさ。
- 予定外のことが起きたときの反応。
そうした目に見えにくい場の質が、組織の動き方に大きく影響しています。
組織開発を考えるなら、関係性や相互作用の中で、場にどんな変化が起きているのかに目を向ける必要があります。
2.変化は、関係性と場の中で起きる
組織の変化は、個人の意識だけで起きるわけではありません。もちろん、一人ひとりの意識や行動は大切です。でも、個人が変わろうとしても、その人の関わりが受け取られない場では、変化は続きにくい。
何かを言っても流される。違和感を出しても拾われない。新しい試みがすぐに否定される。想定外の出来事が、ただのミスとして閉じられる。
そういう場では、人はだんだん関わりにくくなります。
逆に、誰かの小さな関わりが受け取られ、別の誰かの関わりにつながる場では、変化は少しずつ動き出します。
- 一人の発言が、次の問いを生む。
- 違いが、対話のきっかけになる。
- 予定外が、学びや工夫の素材になる。
変化は、関係性と場の中で起きていきます。
3.共創の場づくりという入口
組織開発にインプロを活かすなら、まず「共創の場づくり」から考えるのがよいと思っています。インプロを、ただ盛り上がるゲームとして導入するのではなく、組織の中で何が起きているのかを見るための入口にする。
- 誰が関わりやすいのか。
- 誰の関わりが受け取られにくいのか。
- どんな反応が場を閉じているのか。
- どんな関わりが次の関わりを生んでいるのか。
こうしたことを、頭で説明するだけではなく、体験として見えるようにする。そこに、インプロを組織開発に活かす意味があります。
共創とは、ただ意見を集めることではありません。一人の関わりが、別の関わりを呼び、場全体の流れが少しずつ変わっていくこと。その感覚を体験することが、組織開発の入り口になり得ます。
4.インプロは、場に生まれたものを扱う実践である
インプロでは、最初からすべてが決まっているわけではありません。相手が出したものを受け取る。そこから次の関わりを出す。予定外のことが起きても、それをなかったことにせず、次の展開の素材にする。場全体で、次の流れをつくっていく。
これは、組織の中で起きていることにもつながります。
- 会議で出た一言。
- 誰かの違和感。
- 小さなためらい。
- 想定外の出来事。
- 期待した結果につながらなかった試み。
それらをどう扱うかによって、組織の場は閉じもするし、ひらきもします。インプロは、場に生まれたものを受け取り、関係性の中で次をつくる実践です。その意味で、組織開発にとっても豊かな入口になります。
5.心理的安全性の先へ
組織開発の文脈では、心理的安全性も重要なテーマです。
- 安心して発言できること。
- 違いを出せること。
- 疑問や不安を共有できること。
これらは、とても大切な土台です。ただ、心理的安全性はゴールではありません。
違い、懸念、問いを出せるようになった後に、その場で何を共につくるのか。違いをどう扱うのか。想定外をどう学びに変えるのか。一人の関わりを、場全体の流れにどうつなげるのか。
そこまで考えると、組織開発とインプロの接点が見えてきます。心理的安全性を土台に、共創の場づくりへ進む。インプロは、その感覚を体験する入口になります。
6.この本で扱っていること
『場がひらく、Yes And の先へ』では、インプロを単なるゲームやコミュニケーション術としてではなく、場づくり、関係性、共創、変容の視点から見直しています。
組織開発にインプロを活かすなら、まず共創の場づくりから考える。
- 誰かの関わりが受け取られる。
- その関わりが、次の関わりを呼ぶ。
- 場に生まれたものを、みんなで扱っていく。
- 予定外も、変化の素材になる。
そのような場をどうつくるのか。
この問いは、組織開発、人材育成、企業研修、チームビルディングに関わる人にとって、とても大切な問いだと思います。インプロは、その問いに対する一つの実践的な入口になります。
組織開発におけるインプロの価値は、個人のスキルだけでなく、関係性の中に新しい意味や動きを生み出す点にあります。
あなたの組織では、一人の関わりが別の人の関わりを生み、場全体へ広がる瞬間があるでしょうか。
共創が生まれる場と関係性をさらに考えたい方は、書籍『場がひらく、Yes And の先へ』もご活用ください。
インプロの知恵を、さらに現場へ
書籍『場がひらく、Yes And の先へ』では、この記事で取り上げたテーマを、インプロの視点から、場づくり、関係性、共創、変容の実践と結びつけて探究しています。