今日は、心理的安全性を土台に、その先で共創が生まれる場について書いていきます。
安心して発言できることは大切ですが、それだけで関わりが連鎖するとは限りません。出された声が受け取られ、次の行動や意味につながる場の条件を考えます。
このページの目次
1.心理的安全性は、大切な土台である
心理的安全性は、チームや組織を考えるうえで、とても大切な言葉になりました。
- 安心して発言できる。
- 疑問を出せる。
- 違いを出せる。
- 思った通りにならなかった経験や不安を、隠さずに扱える。
こうした状態は、チームにとって大切な土台です。安心して話せない場では、対話は深まりにくい。
意見を言うたびに評価されるような場では、人は本当の意味では参加しにくい。違いを出すことが危険な場では、創造性も学習も起こりにくい。その意味で、心理的安全性はとても重要です。
2.でも、心理的安全性はゴールではない
ただ、心理的安全性はゴールではなく、場が動き始めるための土台でもあります。
- 違い、懸念、問いを出せるようになった後に、何が起きるのか。
- 違いが出た後に、その違いをどう扱うのか。
- 意見が出た後に、それをどう共に形にしていくのか。
- 試みが期待した結果につながらなかったり、想定外の出来事が起きたりしたときに、それをどう次の学びや展開につなげるのか。
そこに、共創の場づくりというテーマが出てきます。心理的安全性は大切です。でも、それだけで十分というわけではありません。
違い、懸念、問いを出せる場から、共に動き、共に創り、共に変わっていく場へ。その先を考える必要があります。
3.共創は、意見を集めることだけではない
共創は、ただ意見を集めることではありません。みんなの発言を順番に聞いて、きれいにまとめることだけでもありません。
- 誰かの関わりが、別の誰かの関わりを呼ぶ。
- 一つの発言が、場全体の流れを変える。
- ずれや違いが、次の可能性を生む。
- 予定外の出来事が、場を動かす素材になる。
そのように、場の中で何かが生まれ、変わっていくこと。それが共創の面白さです。
チームや組織の中で本当に扱いたいのは、単に「発言が出ること」だけではないはずです。出てきたものが受け取られ、関係性の中で変化し、次の流れが生まれていく。そこまで含めて、共創の場づくりを考えたいと思っています。
4.インプロには、共創の感覚がある
ここからは、本書で扱った場と関係性の視点を、心理的安全性の先にある共創という文脈へ引き寄せて考えてみます。
インプロには、この共創の感覚があります。インプロでは、最初からすべてが決まっているわけではありません。
相手が場に出したものを受け取り、そこから次をつくっていく。予定外のことが起きても、それをなかったことにせず、場の素材として扱う。一人で完成させるのではなく、相手や場と共に進んでいく。
これは、チームや組織の学びにもつながる感性です。もちろん、インプロをやればすぐに組織が変わる、という単純な話ではありません。
でも、インプロには、心理的安全性の先にある「共に何かをつくる」過程を、身体を通して体験できる面があります。
違い、懸念、問いを出せる。そこから一歩進んで、違いを出し合う。出てきたものを受け取り合う。ずれや予定外も素材にする。場全体で次の流れを生み出していく。
この感覚は、組織開発、人材育成、企業研修、チームビルディングを考えるうえでも、一つの手がかりになると思います。
5.心理的安全性の先に、何をつくるのか
心理的安全性は、違い、懸念、問い、思った通りにならなかった経験も場に出しながら学び合うための土台です。でも、土台ができたら、その上で何を共につくるのかが問われます。
違い、懸念、問いを出せるだけで終わるのか。違いを出し合い、そこから次の可能性をつくるのか。想定外を避けるのか、それとも学びや変化の素材にするのか。
ここで、場づくりの質が変わってきます。インプロは、その問いに対する一つの入口になります。
- 場に生まれたものを受け取る。
- 一人の関わりを、場全体の流れにつなげる。
- 予定外やずれも、次の展開の素材として扱う。
そういう感性を、体験を通じて学ぶことができます。
6.この本で扱っていること
『場がひらく、Yes And の先へ』では、インプロを単なるコミュニケーションゲームとしてではなく、場づくり、関係性、共創の実践知として見直しています。
心理的安全性を大切にしながら、その先にある共創の場づくりへ進むには、何が必要なのか。インプロは、その問いに対する一つの入口になります。
違い、懸念、問いを出せる場から、共に動き、共に創り、共に変わっていく場へ。その入口として、インプロを見直してみませんか。
心理的安全性は、声を出せる土台であり、その声が受け取られて次へつながることで、共創の場が動き始めます。
あなたのチームでは、出された意見や違和感が、その後の関わりにどのような影響を与えているでしょうか。
安心から共創へ進む場づくりを考えたい方は、書籍『場がひらく、Yes And の先へ』も手がかりにしてみてください。
インプロの知恵を、さらに現場へ
書籍『場がひらく、Yes And の先へ』では、この記事で取り上げたテーマを、インプロの視点から、場づくり、関係性、共創、変容の実践と結びつけて探究しています。