今日は、リーダーシップ開発にインプロを活かすとき、正解を示す人から場に応答する人へと視点を広げることについて書いていきます。
方向性を示す力に加えて、変化する状況や周囲の反応を受け取りながら一手を出す力が求められます。予定外の中で関わりを選ぶリーダーシップを考えます。
このページの目次
1.リーダーシップは、正解を示すことだけではない
リーダーシップというと、方向性を示すこと、意思決定すること、メンバーを引っ張ることを思い浮かべる人も多いと思います。
もちろん、それは大切です。
- 目的を示す。
- 優先順位を決める。
- 必要な判断をする。
- 責任を持って前に進める。
こうした働きは、チームや組織にとって欠かせません。
ただ、リーダーシップを「正解を示す人」「答えを持っている人」としてだけ捉えると、少し狭くなってしまいます。
変化が大きい場では、最初から正解が見えているとは限りません。予定通りに進まないこともあります。メンバーから想定外の反応が返ってくることもあります。現場で起きていることを受け取りながら、次の関わりを探していく必要があります。
その意味で、これからのリーダーシップには、正解を示す力だけでなく、場に応答する力も必要になると思っています。
2.変化の中では、予定外に応答する力が問われる
チームや組織では、予定外のことが起きます。
- 計画通りに進まない。
- 思っていた反応が返ってこない。
- メンバーの意見が割れる。
- 現場から違和感が出る。
- 小さなミスが、思わぬ課題を浮かび上がらせる。
そのとき、リーダーがすべてを一人で抱え込み、すぐに答えを出そうとすると、場にある情報を見落としてしまうことがあります。
大切なのは、予定外をただの混乱として処理することだけではありません。
- 何が起きているのかを見る。
- そこにどんな情報が含まれているのかを受け取る。
- メンバーの関わりを、次の流れにつなげる。
- 必要なときには、方針を修正する。
予定外に応答できることは、リーダーシップにとって大切な力です。
3.リーダーは、場に関わり、場から返ってくるものを見る
リーダーの一言や態度は、場に影響します。
- 問いかけ方ひとつで、メンバーの発言の出方が変わる。
- 誰かの意見をどう受け取るかで、場の安心感が変わる。
- ミスや違和感への反応によって、次に挑戦しやすくなるかどうかが変わる。
リーダーの関わりは、場を動かします。だからこそ大切なのは、関わった後に、場から何が返ってきたのかを見ることです。
メンバーはどう反応したのか。誰が声を出し、誰が黙ったのか。場の空気はひらいたのか、閉じたのか。次の関わりは、どこから生まれそうなのか。
リーダーシップは、一方的に場を動かすことだけではありません。自分なりの関わりが場に何を生んだのかを見て、そこから次の関わりを選んでいくことでもあります。
4.インプロは、応答するリーダーシップの稽古として活用できる
ここでは、本書で扱った場への応答という視点を、リーダーシップ開発へ引き寄せて考えます。インプロでは、相手が何を出してくるかを完全には決められません。
誰かが関わってみる。相手が反応する。予定外のことが起きる。場の空気が変わる。そこから次の関わりを選ぶ。
これは、リーダーシップにも通じる感性です。リーダーは、すべてをコントロールしきる人ではありません。場に関わり、返ってきた反応を受け取り、次の流れをつくっていく人でもあります。インプロは、そのような関わり方を体験的に試し、振り返る機会になります。
- 自分なりの関わりを出す。
- 相手が場に出してきたものを受け取る。
- 予定外を素材にする。
- 場全体の流れを見ながら、次の関わりを選ぶ。
こうした経験は、リーダーシップ開発や管理職研修にもつながります。
5.リーダーシップを、個人の資質だけでなく場づくりとして見る
リーダーシップは、個人の資質や能力として語られることが多いテーマです。
- 決断力がある。
- 巻き込む力がある。
- ビジョンを示せる。
- 人を動かせる。
もちろん、こうした力は大切です。でも、リーダーシップを個人の力だけで見ると、場の中で何が起きているのかを見落としやすくなります。
メンバーが関わりやすい場になっているか。違和感や疑問が、必要な形で出せるか。予定外を責めるのではなく、学びの素材として扱えるか。一人の関わりが、チーム全体の流れにつながっているか。
リーダーシップは、場づくりでもあります。
インプロの視点を加えることで、リーダーシップを「一人で引っ張る力」だけでなく、「場に応答し、共に次をつくる力」として見直すことができます。
6.この本で扱っていること
『場がひらく、Yes And の先へ』では、インプロを単なるゲームやコミュニケーション術としてではなく、場づくり、関係性、共創、変容の視点から見直しています。
リーダーシップ開発にインプロを活かすなら、正解を示す人から、場に応答する人へ。
- 自分なりの関わりを出す。
- 場から返ってくるものを見る。
- 相手が場に出してきたものを受け取る。
- 予定外を素材にする。
- 場全体で次の流れをつくる。
この感性は、リーダーシップ開発、管理職研修、人材育成、組織開発、チームビルディングにもつながります。リーダーシップを、個人の能力だけでなく、場と関係性の中で見直す。その入口として、インプロを見直してみませんか。
場に応答するリーダーシップは、正解を先に示すだけでなく、周囲の反応を受け取りながら次の一手をつくります。
あなたが導く場では、計画と異なる反応が起きたとき、何を受け取り、どんな一手を選んでいるでしょうか。
変化する場に応答するリーダーシップを深めたい方は、書籍『場がひらく、Yes And の先へ』もぜひご覧ください。
インプロの知恵を、さらに現場へ
書籍『場がひらく、Yes And の先へ』では、この記事で取り上げたテーマを、インプロの視点から、場づくり、関係性、共創、変容の実践と結びつけて探究しています。