今日は、チームコーチングで場づくりを深めるために、インプロから学べることを書いていきます。
個々の発言だけでなく、チーム全体に起きる反応や相互作用を見ることが大切です。関係性の動きを受け取り、次の対話へつなぐ視点を考えます。
このページの目次
1.チームの中で起きている相互作用を見る
チームコーチングでは、一人ひとりの発言を聴くことが大切です。
- 誰が何を感じているのか。
- どんな課題意識を持っているのか。
- 何に困っているのか。
- 何を大切にしているのか。
こうした声を丁寧に扱うことは、とても重要です。ただ、チームコーチングで見たいのは、個人の発言だけではありません。
その発言が、チームの中でどう受け取られているのか。誰が反応し、誰が沈黙しているのか。一人の関わりによって、場の流れがどう変わったのか。言葉になっていない違和感や期待が、場の中に生まれていないか。チームコーチングでは、個人の内側だけでなく、チーム全体に起きていることを見る必要があります。
2.場全体の反応を見る
チームの場は、いつも何かを返しています。
- ある人の発言に、誰かがすぐ反応する。
- 別の人の発言には、少し沈黙が生まれる。
- ある話題になると、場の空気が硬くなる。
- 笑いが起きても、場には緊張が残っているように感じられることがある。
- 誰かが言いかけて、やめる。
- 一人の発言をきっかけに、別の人が少し前に出る。
こうした反応は、チームの状態を知る手がかりになります。チームコーチングで大切なのは、発言の内容を理解することだけではありません。
その発言によって、場に何が生まれたのか。その反応を、チームの学びにどうつなげられるのか。いまこのチームは、どんな関係性の中で話しているのか。そこを見ることで、場づくりは深まっていきます。
3.インプロは、アンサンブルの中で起きていることを見る練習として活用できる
ここでは、本書で扱った場と関係性の視点を、チームコーチングの場面へ引き寄せて考えます。インプロでは、一人だけで場をつくることはできません。誰かが場に出したものを、別の誰かが受け取る。その反応を見て、また次の関わりが生まれる。
場の空気が変わる。予定外のことが起きる。それを誰かが拾い、次の展開につなげる。こうしたやりとりの中で、アンサンブルが生まれていきます。
インプロの面白さは、一人の能力だけにあるわけではありません。むしろ、相手や場との関係性の中で、次の流れが生まれていくところにあります。これは、チームコーチングにも通じる感性です。
- 一人の発言を見る。
- その発言に対する場の反応を見る。
- その反応が、次の関わりをどう呼んでいるのかを見る。
インプロは、チームの場に起きていることを体験的に見るための入口になります。
4.一人の関わりを、チーム全体の流れにつなげる
チームコーチングでは、一人の発言をその人だけのものとして扱うのではなく、チーム全体の学びにつなげることがあります。
- ある人の違和感が、実はチーム全体のテーマだった。
- 一人の沈黙が、場全体の関わり方を考えるきっかけになった。
- 誰かの小さな一言が、次の対話の入口になった。
- 予定外の反応が、チームの関係性を見直すきっかけになった。
こうしたことは、チームの場ではよく起きます。ファシリテーターやチームコーチに問われるのは、その関わりをどう扱うかです。
個人の発言として閉じるのか。場全体に返すのか。次の問いにつなげるのか。少し待つのか。
別の人の反応を見てみるのか。この判断の中に、場づくりの深さがあります。
インプロは、一人の関わりを受け取り、場全体の動きと結びつけて見ることを、体験し振り返る練習になります。
5.ずれや沈黙や予定外が、チームの学びになる
チームの場では、ずれや沈黙や予定外が起きます。
- 意見が噛み合わない。
- 話が急に止まる。
- 誰かがためらう。
- 想定していなかった反応が返ってくる。
- 予定していた流れから外れる。
こうした出来事を、問題としてすぐに片づけることもできます。でも、それらはチームの学びの素材でもあります。
なぜ、ここで沈黙が生まれたのか。このずれは、何を示しているのか。この予定外の反応から、チームは何を学べるのか。次の関わりを、チームとしてどうつくれるのか。
インプロは、ずれや予定外をなかったことにせず、場の素材として扱います。その見方は、チームコーチングで場づくりを深めるための手がかりにもなります。
6.この本で扱っていること
『場がひらく、Yes And の先へ』では、インプロを単なるゲームやコミュニケーション術としてではなく、場づくり、関係性、共創の視点から見直しています。
チームコーチングで場づくりを深めるために、インプロから学べることがあります。
- 一人の発言だけでなく、場全体の反応を見ること。
- 一人の関わりを、チーム全体の流れにつなげること。
- ずれや沈黙や予定外を、チームの学びの素材として扱うこと。
この感性は、チームコーチング、ファシリテーション、組織開発、人材育成の場でも大切になっていきます。チームの中に生まれているものを受け取り、次の流れを共につくる。その入口として、インプロを見直してみませんか。
チームコーチングでは、個人の言葉と同時に、チーム全体に生まれる相互作用を受け取ることが、場を深める鍵になります。
あなたのチームでは、誰かの発言が他の人や場全体にどんな変化を起こしているでしょうか。
チームの相互作用と場づくりをさらに考えたい方は、書籍『場がひらく、Yes And の先へ』もぜひ手に取ってみてください。
インプロの知恵を、さらに現場へ
書籍『場がひらく、Yes And の先へ』では、この記事で取り上げたテーマを、インプロの視点から、場づくり、関係性、共創、変容の実践と結びつけて探究しています。