インプロを体験していく中で育まれるものは、即興で表現するための技術だけではありません。
相手から出てきた表現を受け取ること。予定外の流れに関わってみること。自分の反応に気づきながら、次の一歩を返していくこと。
そうした体験を重ねる中で、私たちのものの見方や、人との関わり方も変わっていきます。
『非認知能力を育む「即興(インプロ)の知恵」』では、その心のあり方を「へっちゃらマインド」として紹介しています。
このページの目次
🧭 「へっちゃら」は、何も感じないことではない
「へっちゃら」と聞くと、何があっても動じないことや、何も感じないことのように聞こえるかもしれません。
でも、本書で扱うへっちゃらマインドは、そういう意味ではありません。
戸惑わないことでも、平気なふりをすることでも、自分の中に起きている揺れをなかったことにすることでもありません。
予定外のことに出会ったとき、私たちは驚いたり、迷ったり、身体が固まったりすることがあります。
へっちゃらマインドは、そうした反応を消すためのものではなく、その反応に気づきながらも、人や状況と関わり、次の一歩をつくっていくための心のあり方です。
🌱 「なんとかするし、なんとかできるし、そしてなんとかなる」
へっちゃらマインドの核心には、ひとつの循環があります。
それは、
なんとかするし、
なんとかできるし、
そして、なんとかなる。
という感覚です。
これは、ただの楽観論ではありません。
「まあ、何とかなるでしょう」と、何もしないまま流れに任せることでもありません。
まず、目の前の状況に関わってみる。完璧な準備が整っていなくても、いまあるものから始めてみる。ときには小さく、ときには大胆に、次の一歩を差し出してみる。
それが「なんとかするし」です。
次に、自分や相手とのやり取りの中に、何かが生まれる可能性を見てみる。一人ではすぐに答えが見えなくても、人と関わる中で次の流れが出てくるかもしれないと信じてみる。
それが「なんとかできるし」です。
そして、思っていた通りにならなかったとしても、そこで終わりにしない。起きたことを受け取り、次の関わりや学びにつなげていく。
それが「そして、なんとかなる」という感覚です。
本書では、この心の循環を、アマテラス・ツクヨミ・スサノオという三貴神のイメージとも重ね合わせています。
🎭 インプロの体験が、心のあり方を育てていく
インプロでは、あらかじめすべてを決めておくことはできません。
相手が何を出してくるか、自分がどう反応するか、やり取りがどこへ向かうかは、実際に始まってみなければわかりません。
だからこそ、インプロでは、目の前で起きていることを受け取りながら、その瞬間に関わっていくことが大切になります。
流れをコントロールしようとしすぎるよりも、起きたことに気づくこと。
自分だけで何とかしようとするよりも、人とのやり取りの中で次の流れをつくっていくこと。
予定していた通りに進めることにこだわりすぎず、そこに生まれたものを受け取り、次の関わりへつなげていくこと。
こうした体験を重ねるうちに、インプロは、私たちの心のあり方にも働きかけていきます。
予定外のことに出会ったとき、いま起きていることを受け取り、関わり方を選んでみる。
自分や相手の可能性を信じて、次の一歩を差し出してみる。
結果を握りしめすぎず、次の展開に関わってみる。
その積み重ねの中で、へっちゃらマインドは育まれていきます。
この本で紹介していること
『非認知能力を育む「即興(インプロ)の知恵」』では、インプロを通して育まれるマインドセットとして、へっちゃらマインドを紹介しています。
それは、単なる気楽さではありません。
何も感じない強さでもありません。
遊び心を持って一歩踏み出すこと。
自分や相手の可能性を信じてみること。
起きたことを受け取りながら、次の関わりをつくっていくこと。
そうした体験を通して、
なんとかするし、なんとかできるし、そしてなんとかなる
という心の循環が育まれていきます。
インプロは、その循環を、言葉だけでなく体験として味わうことのできる実践です。
インプロの知恵を、さらに楽しむ
へっちゃらマインドは、予定外の出来事に驚いたり迷ったりする反応を消すことではなく、そうした反応を受け取りながら、人や状況と関わって次の一歩をつくっていく心のあり方です。
書籍『非認知能力を育む「即興(インプロ)の知恵」』では、「なんとかするし、なんとかできるし、そしてなんとかなる」という心の循環を、インプロの思想や実践と結びつけながらさらに深く探究しています。